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デジタル・イノベーター:デジタル消費者セグメント#1

リテラシーの高いデジタル・イノベーター層

 今回から6回にわたって、デジタル時代の消費者セグメントをご紹介する。まずは、デジタル製品・サービスに進取的であり、高デジタル・リテラシー層である「デジタル・イノベーター層」(*1)だ。

デジタル・イノベーター層の特徴

デジタル・イノベーター層のペルソナ:鈴本 翔平(仮名)(32)会社員

 彼は共働きの妻、4歳の長男と暮らし、広告代理店で働いている。デジタルで生活はもっと効率的にもっと面白くなると考えていて、自分が「これだ!」と思ったデジタル製品・サービスはまず試す。試して良かったら、関心に応じて同僚や妻に薦めるが、イマイチならすぐに利用を止めてしまう。

パーソナルデータ

名前:鈴本 翔平
年齢:32歳
職業:会社員(広告代理店のPR)
住居:西荻窪駅徒歩10分の賃貸マンション
(車未所有、カーシェア利用)
家族構成:共働きの妻(32)、長男(4歳)

ライフゴール

  • 良い夫、良い父でいつつ、「面白かった!」と思える人生でありたい

生活背景

  • 平日は残業が多いため、帰宅が22時を過ぎることもよくある。夕飯の準備はいらないと言ってあり、喫茶店でPCを開きながら、もしくは会社でコンビニ食、が多い。
  • 週末は自分の時間もほしいが、基本は子供を公園に遊びに連れて行き、妻の時間をつくるように心がけている。
    平日は妻に子育てを任せきりなので、せめてもの罪滅ぼし。
    趣味はサッカー観戦、読書。サッカーはスタジアムになかなか行けないので速報を確認できるアプリを愛用。

ITリテラシー

  • 雑誌、オンライン含めIT関連の情報には目を通している。
  • 同僚や妻にPCの効率的な使い方を教えることが多い。

デジタル製品・サービスへの利用状況

  • スマートフォンとスマートウォッチが生活必需品。評判のアプリはまずは試すし、会計は基本キャッシュレス。
  • スマートスピーカーを置いている。早く照明やテレビとつなげたいが、もう少し製品ラインナップが増えるのを待つことにした。
  • 子供が犬を飼いたい、と言っているが、自分はペットロボットに関心があり、うまく誘導できないかと思っている。

デジタル製品・サービスに対する意識・ニーズ

  • デジタルで生活はもっと効率的に、もっと面白くなるはず。だから、「これだ!」と思う新しい製品・サービスは有料でも試して、良いと思えば使い続ける。ただ、いちいち自分の情報を登録するのは本当に手間なので、全ての製品・サービスがプラットフォームサービスの情報と簡単につながるようになってほしい。
  • 自分や社会が便利になるなら、自分の情報はいくらでも提供する。漏洩は事故のようなもので気にしていても仕方ない。

デジタル・イノベーター層の関心を得るには

  所謂インフルエンサーとなり得る、彼のようなデジタル・イノベーターに、まず関心をもってもらう、試してもらうにはどうしたらよいのだろうか。

 関心を抱かせるには、古くて新しいSNSの活用が考えられる。近年、衰退期と評されることもあるSNSだが、デジタル・イノベーターは、今も旬の情報を手に入れるチャネルとして利用している。本調査の結果、イノベーターは複数のSNS閲覧が習慣となっており、食品から家電に至るまで製品選択時の参考にしていることがわかった。

SNS 他の人の投稿「毎日見ている」+「ほぼ毎日見ている」

商品購入時の、SNS(例 Facebook、Instagram、Twitter)参考程度

 デジタル新製品・サービスに関しても、QRコード決済の使い始めたきっかけをみると、「キャンペーン」よりも「SNSでの情報」が上回り、SNSマーケティングが大々的な金銭的メリットをうたうキャンペーンと同等の効果をもつ可能性が示唆される。

QRコード決済の使い始めたきっかけ(単回答)

 そして、試してもらうためには、「一手間がない」ことが大切だ。新製品・サービスを利用したくなる状況として、「自分がよく利用するサイト/アプリからそのまま利用できる」など導入済ツールとの連動性を求める特徴がみられた。多くの製品・サービスを知っている彼らだからこそ、選択されるためには、製品・サービスそのものの魅力を備えたうえで更に、「一手間がない」という価値が重要になると推測する。

次のサービスや商品を利用したくなる状況(複数回答)


*1:デジタル製品・サービスに対する意識・行動の相違をベースに、生活者のデジタル化に関する7つの価値観(因子)を抽出し、クラスタリングを実施することで導出。

デジタル生活者調査の概要

調査手法:インターネット調査
調査対象:20-69歳の携帯電話ユーザー10,000人
デジタル・イノベーター 645人、デジタル・アダプター 2,218人、コンビニライフ2,162人、
デジタル・フォロワー 2,466人、アナログライフ887人、無頓着1,022人、
生活者セグメントの分析対象外 600人
調査期間:2019年8月2日(金)~8月6日(火)

富田 奈央子ビジネスリサーチチームリサーチアナリスト
消費者調査のスペシャリストであり、国内外における消費者行動・消費者意識調査を実施。リサーチ研修講師としても活動。
青山 温子ビジネスリサーチチームリサーチアナリスト
ヘルスケア・エネルギーなど産業財業界を中心とした産業調査、国内・国外(アジア各国・インド)における消費者調査に従事。
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