アナログライフ:デジタル消費者セグメント#5
デジタルに対して忌避的なアナログライフ層
デジタル・リテラシーが低く、周囲の人が製品・サービスを使い始めてからようやく活用を(仕方なく)検討しはじめる「アナログライフ層」(*1)。今回はこのアナログライフ層のペルソナをご紹介する。
アナログライフ層の特徴
アナログライフ層のペルソナ:茂木 春子(仮名)(63)専業主婦
彼女は、建設会社に勤める夫、30歳の次女と一緒に暮らしている。次女に薦められて、シニア向けスマートフォンを利用しているが、いまだに操作に慣れないし、「ここで『はい』を押したら誰かに私の個人情報を悪用されるのでは?」とセキュリティも不安。でも、遠方に住む孫とのビデオ通話は楽しみだし、スマホを手放しないとも思わない。
パーソナルデータ
名前:茂木 春子
年齢:63歳
職業:専業主婦
住居:長岡市の一戸建て(車所有)
家族構成:建設会社の夫(64)、長女(33歳、結婚して京都在住)、次女(30歳、同居)
ライフゴール
- 子供は独り立ちしたし、今度は自分の趣味を謳歌したい
市民会館でフラワーアレンジメント講座をもてるようになりたい
生活背景
- 平日は夫を送り出した後、家事をして、庭の手入れをしているとあっという間に時が過ぎる。子育てをしていた時に比べたら時間に余裕はできたはずだが、丁寧に庭の手入れをしたり、フラワーアレンジメント教室に行ったりしているせいか、暇だとは感じない。
- 週末は夫と過ごすことが多い。きちんとした昼食の用意など、憂鬱に感じることもあり、夫が退職した後の生活が少し心配。
ITリテラシー
- パソコン関係は情報を見ても言葉が分からないので読もうとも思わない。
- 「フラワーアレンジメントの教室をやりたいなら、ネットで生徒を募集するといいよ。○○というアプリがあってね」と長女に薦められるが、正直アプリというものが何なのかよく分からない。
デジタル製品・サービスへの利用状況
- 次女に薦められて、シニア向けスマホを利用しているが、全く使いこなせていないと思う。電話、メール、LINE程度。ただ、友達や家族とのやり取りはLINEが多く、前の携帯に戻すことは考えられない。
デジタル製品・サービスに対する意識・ニーズ
- 言葉も機能もよく分からないし、流行りのものも新しいものにも関心はない。
- ただ、スマホでの孫とのビデオ通話は楽しい。もっと大きい画面で会話ができたらと思うが、テレビに映せるのだろか。
- 老眼で見づらいこともあり、声で色々なものの操作ができたらいいなとは思う。娘の家に声でタイマーをかけられる機械があり、便利そうだった。
- セキュリティが不安。個人情報を入れるものは絶対に使いたくない。
アナログ層に目を向けさせるには
パソコンに対する知識に自信がなく、流行りにも関心がない。彼女のようなデジタルに対して忌避的なアナログライフに、企業はどのようなコミュニケーションを取るべきだろうか。
本調査の結果、サンプル数は少ないが、アナログライフのLINE payを使い始めたきっかけとして、「家族から薦められて」が他セグメントよりも高い傾向にあった。彼女が、娘の家にあったスマートスピーカーのタイマー機能が気になったように「子供や信頼できる人の利用や推奨」、そして「アナログライフの今の生活に必要な機能の打ち出し」は1つの方策かもしれない。
*1:デジタル製品・サービスに対する意識・行動の相違をベースに、生活者のデジタル化に関する7つの価値観(因子)を抽出し、クラスタリングを実施することで導出。
デジタル生活者調査
調査手法:インターネット調査
調査対象:20-69歳の携帯電話ユーザー 10,000人
デジタル・イノベーター 645人、デジタル・アダプター 2,218人、コンビニライフ2,162人、デジタル・フォロワー 2,466人、アナログライフ 887人、無頓着 1,022人、生活者セグメントの分析対象外 600人
調査期間:2019年8月2日(金)~8月6日(火)